公的補助金の活用方法

▽このページのまとめ


後継者スクールを受講するための費用を地方自治体の補助金で活用できる

✓申請は簡単!専門家に依頼しなくても自力で申請できる

✓国が実施する承継トライアル補助金も今後活用できるようになる!※2020年2月時点では実証事業段階

▽後継者育成のために補助金を使おう!

中小企業は、後継者育成のために時間とカネをかけるほど余力があまりありません。しかしながら、経営に関する教育は事業規模やステージに合わせて必要です。経営に関する知識を最低限でも持っておかないと、後継者が今後どのように会社を維持・存続、さらには成長させていけばよいかわかりません。経営という専門能力が低い経営者が営む企業は業績不振に陥るリスクが高まります。すべては後継者の能力次第で会社経営は決まってしまいます。

経営とは、人生を通して学び・磨き上げていくものです。不断の努力が欠かせません。

 

 

よ~し、じゃあ早速学びにいかせよう! といきり立ったそこのせっかち経営者のアナタ。ちょっと待ってください。

 

 

インターネットで後継者スクールを探しても、公的機関はともかく民間団体の後継者の費用だと意外にかかるんですよね。

 

そんな悩みを抱えた中小企業を支援するために、国や地方自治体は補助金制度を用意してきています。

国がこれから本気出してきています。ビッグウェーブが迫っています。これはもう、乗るっきゃないですね。

 

 

①国の補助金制度

国が実施する補助金は、現在「事業承継補助金」があります。事業承継補助金は、後継者が会社を引き継いだ後の新たな取組み等に関する費用の一部を補助する制度です。ただし、後継者育成に関するいわゆる「人材育成費用」は含まれていません。

 

経済産業省の令和2年度予算のうち、事業承継補助金のほかに「承継トライアル補助金」が盛り込まれました。承継トライアル補助金は、「第三者承継を促進するため、後継者不在の中小企業が、外部から後継者候補を試行的に雇用する場合、当該中小企業に対して、その後継者育成に係る費用を支援」するというものです。(詳しくはこちら

 

つまり、親族外の第三者で後継者候補を外部から募る場合に、後継者育成にかかる費用を国が補助しますよ、ということです。

 

どのような内容になるかわからないので、今後の動向に注目しましょう。

事業目的・概要  喫緊の課題である事業承継問題を解決するため、10年程度の事業承継 の集中実施期間の中で、事業承継ニーズを掘り起こします。具体的には、 各都道府県に構築された事業承継ネットワークをベースとし、地域密着型 で専門家派遣等を行う「プッシュ型事業承継支援」の強化を図ります。  また、承継後に行う設備投資等の新たな取組を支援するとともに、後継者 不在の中小企業の後継者教育の型を明らかにします。  後継者が経営者保証を理由に躊躇することなく円滑に事業承継を進める 観点から、経営者保証解除に向け
令和元年度補正予算「事業承継・世代交代集中支援事業」
事業目的・概要  地域経済を揺るがしかねない事業承継問題を解決するため、今後10年 程度を事業承継の集中実施期間として位置付け、事業承継のニーズ掘り 起こしのため、各都道府県に構築された事業承継ネットワークをベースとし ながら、地域密着型で専門家派遣などの個者支援を行う「プッシュ型事業 承継支援」の更なる強化を図ります。  また、事業承継後に行う設備投資等の新たな取組や生産性向上を目指 す取組を支援するとともに、後継者不在の中小企業の円滑な後継者確 保・育成を後押しします。 成果目標  平成29年度
令和2年度「事業承継・世代交代集中支援事業」

 

②地方自治体(都道府県・市町村) の補助金制度

地方自治体が実施する補助金は大きく2種類に分かれます。一つは事業として公的な支援機関が後継者スクールを主催しているもの、もう一つは、民間団体が実施する後継者育成にかかる費用を一部補助するものです。

 

繰り返します。


地方自治体では後継者育成、つまり後継者スクールにかかる費用で補助金が活用できるのです

後継者育成のために補助金が使えるのは大きなメリットですので、ぜひ覚えておきたい所です。

ただし、現時点ではこのような補助金を展開している地方自治体は限られていますので注意して下さい。

 

調査時点では、首都圏の支援機関が実施しています。市単位でも事業承継に関する補助金制度はありますが、後継者育成まで拡充されていません。
実施機関一例を紹介しておきます(こちらは随時更新していきます。)

 

自治体 補助金名称 補助金額 補助率 補助対象経費の範囲(例)
千葉県 事業承継助成金  50万円以内 1/2以内

1.事業承継計画の策定委託

2.企業価値の算定委託

3.後継者の育成

4.M&Aの仲介委託等

東京都  事業承継支援助成金  200万円(申請下限額20万円) 2/3以内 1.人材紹介会社のサービス利用費用

2.企業・法務のデューデリジェンス

3.後継者の育成

4.M&A仲介会社へののアドバイザリー

 契約締結に要する経費

5.社内経営管理システム構築の委託費、他

横浜市

事業承継・M&A支援事業助成金  50万円以内 1/2以内 1.事業承継計画の策定委託、初期診断、他

2.企業価値の算定委託

3.M&Aの仲介委託等

→後継者育成への補助はなし

香川県

 中小企業後継者育成事業  50万円他 1/2以内

1.中小企業大学校の各種研修コースの費用助成

2.香川大学大学院への研修費用助成

▽県の補助金申請の例(千葉県の場合)


 

千葉県の場合、最大50万円(助成率2分の1)まで補助金が交付されます。後継者スクールをお探しの中小企業の皆さんにとって、とても大きい金額とは思いませんか?もちろん、使い切れない金額は他の目的に使用することができます。

 

対象経費の範囲は国の事業承継補助金ほど幅広くありませんが、冒頭に書いたとおり後継者育成のために補助金が使えるのです。民間が開催する後継者スクールにも参加しやすくなるため、中小企業・小規模企業からすれば大きなメリットです。

①全体の流れ

では、全体の流れを確認していきましょう。※最新の情報を載せていますが、正式な情報は実施機関のHPをご確認下さい。

留意点 ■①……助成金予算が無くなり次第、申請受付は終了となりますので、事前にお問合せ下さい。 ■②……窓口は千葉県産業振興センターです。 申請書類(写)の内容を事前に確認させていただきます。 ■③……窓口は千葉商工会議所(千葉県事業引継ぎ支援センター)です。 申請書類は、推薦書の発行機関である千葉商工会議所を経由し、御提出いただきます。 ■⑦……助成金が支払われるのは、対象経費のうち、交付決定時からその年度の2月末日までの 間に、申請者が実際に支払った経費のみです。
出典:公財)千葉県産業振興センター「事業承継助成金」チラシより抜粋

 

予算等の事前確認、申請前の事前相談窓口は、公益財団法人千葉県産業振興センタが実施しています。

申請受付窓口は千葉県事業引継ぎ支援センター(千葉商工会議所内)となっています

 

少し複雑ですね。

まずはシンプルに公益財団法人千葉県産業振興センターに相談しましょう。優しい担当者が丁寧に案内してくれます。

 

<申請書類の事前確認に関する窓口>

 〒261-7123

千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1 WBGマリブイースト23階

公益財団法人千葉県産業振興センター 経営支援部総合支援室

TEL:043-299-2907 FAX:043-299-3411

 

Mail:shokei@ccjc-net.or.jp 

 

①予算残額の問い合わせ

年度の予算が後どの位残っているか確認をします。これはつまり「早い者勝ち」なので、早く使った方が良いということになります。

問い合わせ時にどの申請書類などの提出書類一式の案内もあります。

 

②申請書類(写)の事前確認

申請書類を準備したら、申請書一式のコピーをもって公益財団法人千葉県産業振興センターに持参します

申請前に抜け漏れがないかどうかのチェックをしてくれます。

 

③申請書類の提出

チェックが終わったら、今度は千葉商工会議所内にある千葉県事業引継ぎ支援センターに提出(郵送のみ受付)します。

 

④推薦書の発行

提出後、不備がなければ千葉県事業引継ぎ支援センターが推薦書を発行してくれます。

 

⑤助成金交付決定

内容に問題がなければ交付決定されます。交付決定後から後継者スクールの契約をします。

交付決定以前に契約すると助成が受けられないので注意が必要です。

 

⑥実績報告書等の提出

後継者スクール受講後、実績報告書を記載して提出します。補助金事業は年度末までに終わらせておきます。

この時、請求書などの証拠(エビデンス)の提出も求められますのでしっかり保管しておきましょう。

 

⑦助成金の支払い

すべて手続きが終わったら、指定された口座に支払が行われます。

 

 

②助成金の概要

次に、助成金の概要を見ていきます。

 

▽千葉県事業承継支援助成金の概要

事業承継に係る計画策定、企業価値の算定、後継者の育成、M&Aの仲介への助成金 

補助率:1/2以内

補助限度額:50万円以内

 

後継者の育成以外にも利用できるため、満額利用する場合には後継者スクール以外の費用についても検討しておくと良いでしょう。

 

1 助成の対象者

(1)千葉県内に本社又は事業所を有すること。

(2)事業承継を行うにあたり、引き続き県内で事業を営む者であること。

(3)支援機関から推薦を受けた者であること。

(4)その他

 

その他について以下に列挙しておきます。

・千葉県税を滞納者していないこと

・みなし大企業ではないこと(株式会社にあっては、発行済み株式総数の2分の1超を中小企業者以外に保有されていないこと)

・暴力団、暴力団員関連でないこと

・暴力団、暴力団員関連と密接な関係でないこと

・風俗営業等の規制ならびに性風俗関連特殊営業に該当する事業を行う者でないこと。

・その他、助成金を交付することが不適当と認められる者でないこと。

 

2 助成の対象事業と対象経費

 助成の対象事業 対象経費
(1)事業承継計画の策定委託  事業承継計画の策定委託料
(2)企業価値の算定委託  株価など企業価値の算定委託料
(3)後継者の育成 後継者の育成のためのセミナー等受講料
(4)M&Aの仲介委託等     仲介委託料、マッチング登録料、着手金

  ※買収側の企業は本助成金の対象外となります。

 

後継者育成に関して言えば、制度上はあくまでも他社に売却しないで後継者に引き継ぐ場合を想定しています。

M&Aで購入した経営者(後継者)自らが本制度を利用できないことに注意しておきましょう。

 

3 助成事業の実施期間

助成金交付決定日 ~ 令和〇年2月末日

  

公的機関の年度はほぼ4月1日~3月31日です。最終月は公的機関の都合により実施できないことに注意しておきましょう。

そのため、2月末日までに助成事業を終了させておく必要があります。つまり、後継者スクールの費用助成は2月までの分と覚えておきましょう。

 

4 申請方法

(1)申請期間

令和〇年4月上旬~から随時受付(予算終了まで)

※予算が終了した場合、年度内に募集を締め切る場合があります。

 

この助成事業は早いもの勝ちです。

後継者スクールは、1年間にわたって実施しているものがありますので、 申請前にしっかり後継者スクールを確認、準備しておきましょう。

 

(2)申請方法

① 申請書の事前確認(提出先:公益財団法人千葉県産業振興センタ

直接持参のみ(郵送、電子メール、ファクシミリ等での受付はできません)

土曜日・日曜日・祝日を除く、午前9時~午後5時までに提出下さい。

窓口にて書類のチェックを行いますので、なるべく早めの時間に御来訪下さい。

 

② 申請書の提出(提出先:千葉商工会議所)

郵送のみ

※提出先が複数の機関となっておりますので、添付の「申請の御案内」を必ず御確認下さい。

 

(3)申請書類

・交付申請書(第1号様式)

・申請企業概要

・事業計画書

・経費明細書

・役員等名簿

・暴力団排除及び性風俗関連特殊営業に該当しないことに関する誓約書

・その他添付書類

・チェックリスト

 

その他添付書類について以下に列挙しておきます。

・株主名簿(持ち株比率のわかるもの)

・履歴事項全部証明書(法人登記簿謄本) 又は個人事業主開業届 の写し ※直近3ヶ月以内の原本(写し) / 個人の場合は開業届書(写し)

・千葉県税の納税証明書 (証明できる直近の年度のもの) ※最寄りの税務署にて申請します 申請書ページはこちら(千葉県HPリンク)

・確定申告書のすべて2期分(写し)

・見積書(写し)※委託業務の内容がわかるもの

 

いかがでしたか?ここまでで一連の流れと提出するものを紹介しました。

 

次ページでは申請書類の書き方を紹介していきます。事業計画書の書き方を見たい方はこちらから。